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オムツン

第29章 二十九枚目

「どうしたの?二人とも堅くなって」

キョウコちゃんが笑う。

「とりあえず、乾杯をしましょうか」

ママがグラスにワインを注ぎながら言う。

なんだか高そうなワインだ。

「お店のリニューアルオープンに乾杯しましょう…あ、そうだ!お店の名前が決まっていなかったわよね…ケントさん決めてよ」

キョウコちゃんがグラスを差し出しながら言った。

「え…いきなり言われても…それにこういうのはオーナーとかが決めるんじゃないの?」

「いいのよ、これまで頑張ってくれたから」

「そうだね。ケントのおかげで女の子達も安心して仕事ができそうだし」

カズ君が合わせてくる。

「う~ん…弱ったなぁ…」

これまでに私は店の女の子のうち、ほとんど全員を把握して、バーの常連客とのカップリングを成立させ、リニューアルオープンの準備を整えていた。

しかし、店名となると…

「…決めてもいいなら…う~ん…オムツ…オムツ…オムツン…オムツンでどう?」

苦し紛れに言ってみる。

安直かな…?

「オムツン…いいんじゃない、わかりやすいし、覚えやすいわ」

「うん、気に入ったわ」

「そうだね、新規のお客もつかめそうだし」

キョウコちゃん、ママ、カズ君があっさり認めてくれた。

…これでいいんだろうか。





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