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オムツン

第8章 八枚目

彼女は真ん中あたりに座っていた。

他に客はなかった。

私は彼女と二つ席を空けて座った。

スローペースなピアノジャズが流れている。

店主の趣味だろうか。

一人でいれば、静かに音楽に身を任せられ、誰かと話していれば邪魔にならない程度の音量。

口髭の男性がこちらを見ている。

嫌じゃない。

注文を急かす雰囲気じゃない。

まるで、本当の家に帰ってきたかのような安心感。

作り物の家じゃなくて。





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