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アクアリウムに恋をして

第1章 アクアリウムに恋をして

 争いなんてなくなればいいのに。学校では三年間、常にいじめがあった。少女は地味で目立たなくて、いつターゲットになるかと思うと怯えて過ごしていた。それは、杞憂で終わったのだが。

「そうか。なぁ、君には夢はあるんか?」

「夢……ちょっとだけ考えたことがあります。最近、持ったばかりなんですけどね」

「それ、大事にせなあかんで。俺は、親の決めた道を選びたくなくて、逃げ出したけど、特に夢があるわけやなかった。やから、今は……ただのフリーターや」

「笑い事じゃないと思いますが……ありがとうございます」

 少女は、苦笑混じりにお辞儀をした。と、同時にもうすぐ閉店のアナウンスが流れる。

「では、またです」

「あぁ」

 会場を後にする二人。

 この時、男性の言葉に少女はあることを決意していた。

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