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アクアリウムに恋をして

第1章 アクアリウムに恋をして

         ***

 十年後――。

 大阪の百貨店で今日から開催されているアートアクアリウム展。

 普通の琉金などもいるが、出目金、アルビノ出目金、頂天眼、水泡眼、丹頂など少し変わった金魚がメインのアートアクアリウム展。今までにない展示会だ。

“アートアクアリウム展~不思議な金魚たち~”

「久しぶりやな」

 相変わらず百貨店の警備員をしている男性。変わったのは、あの頃よりも少しだけ更けていることと、アルバイトから社員になっているということ。

「お久しぶりですね。あの時はありがとうございました」

 お辞儀をする女性。

 少し高めの背に綺麗に巻かれた髪。服装はグレーのスーツの美人な女性。そこには、あの時の自信のない少女は居ない。

 あるのは、堂々とした立ち姿のアートアクアリウムアーティストの女性の姿。

 ほら、今日もあの日と同じ。会場には、自由に水槽を泳ぎまわる金魚たちと人々の笑顔が溢れている――。



End.
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