
キョウダイ
第19章 悠ちゃんの生活
そんな考えが、一瞬よぎったけど。
実は人の出入りが結構ある、屋上。
タバコをこっそり吸いに来た、先生に案外あっさり開けてもらえた。
あたしは屋上から、真っ先に、学校の外へ向かった。
鞄も持たずに、ケータイとお財布だけで。
途中駅前のコンビニのATMで、貯金を全て下ろして、真っ直ぐに駅に向かう。
新幹線に乗って、九州へ向かう。
行き先はあたしの家族が死んでしまった、あの事故現場。
九州の山奥へ。
そこへ、たった一人で、向かう。
みんな、あたしの家族は、死んでしまったのに、会える訳ないのに、会えるような気がして。
会える訳ないって分かっているのに。
あの場所に、行きたかった。
今から新幹線で行って、夕方には着く筈だ。
貯金は沢山あるし、どうにかなる。
死にたい訳じゃない。
本当にただ消えてしまいたいって思うけど、そうじゃない。
そこに行けば、何かが分かる。
そんな衝動的な思いがあった。
