キョウダイ
第20章 残酷な意地悪
明side
お互いが絶頂へと向かう瞬間に、よぎってしまった。
それは、酷く、自分勝手な欲望。
自分の生きて来た、印を、葵の体に刻みたい。
俺らしい、残酷な意地悪。
俺の生を、葵の中に、放ってしまいたい。
勝手な夢を見る。
俺の子供を、宿して欲しい。
俺がいなくなっても、そうやって、俺という存在を、宿して生きて欲しい。
誰と一緒になっても、俺という存在は、消えることはない。
残酷で自分勝手なのは分かっていた。
だけど、欲望は止められなかった。
葵は幸せそうな、綺麗な笑顔で呟いた。
「嬉しい……」
俺の心臓は葵のせいで、とうにいかれてしまってるのかもしれない。
何度も胸が締め付けられて、苦しいのに。
それは幸せな、甘い、疼きへと、変わる。
こんな俺でごめん……。
だけど、どうしようもないくらい。
愛してる………。