テキストサイズ

キョウダイ

第5章 戦いの火蓋





っていうか、最初からお姉ちゃんと言わされた、という状態だったからね。


しょうがない。


葵の死んだ弟のふりまでしちゃってさ。


年も一緒だったし。


似たような性格でよく一緒に遊んだから。


葵のためにしたことだ。


それだけみんなが葵の事を大事に思ってるのに。


変に鈍いから、天然で残酷な女の子だよ。


それでもひかれてしまうんだから、馬鹿だよね。





むっつり黙り込んでいるけど、心配でいらいらしながら待ってる海斗をみながら、溜め息をつく。



そのタイミングでインターホンが鳴った。



「帰って来たかな?」



二人で顔を見合わせて、玄関へと急ぐ。



「ただいま、姫も無事に帰ったよ」


冗談ぽく言う悠ちゃんから、お酒の匂い。


「えっと、ただいまっ。言っとくけど、家出じゃないんだからねっ」


言い訳っぼく言ってる、姫、正に、姫がいた。


「葵ちゃん?どうしたの、その格好っ」


白い胸の開いたワンピース、黒いレースと、薄いピンクのレースが施された、センスのいいデザインだ。


黒い艶やかな長い髪を緩く巻いて、アップにしている。


透明感のある白い肌に白いワンピが良く似合う。



背は高くないのに、小顔で足が長い。


スタイルいいから、ゾクリとした色気を放っていた。


葵が帰った瞬間から、急に家の空気が変わる。


それだけ、ひかれてしまう、存在感。


大きな黒い瞳は、猫目っぽく、くるくる変わる。


短い丈のスカートに惜し気もなく素足をさらしてる。


一瞬見とれてしまった。


もろタイプの女の子。


いや、葵が、タイプの女の子になったと言うべきか。



思わず抱きつく。



「可愛いっ、すごい、似合ってるよ、葵ちゃんっ」


思いきりハグする。


柔らかい感触、いいかおりがふわりとする。


幸せ。


「ちょっと、柊ちゃんっ」


赤くなって抗議の声をあげるけど。


もうちょっと。


ぎゅっと抱きしめてたら、襟首と、腕を、すごい力で引っ張られて引き離される。


「こら、柊?」


笑ってる、悠ちゃんの瞳が恐い。


「べたべたすんなっつったろうが?」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ