
キョウダイ
第6章 戦いの火蓋 2
低血圧で朝は苦手な柊斗に怒鳴りながら準備させて、俺達が揃って台所に現れると、エプロン姿の悠ちゃんがいた。
ご飯をついだり、葵の手伝いをしている。
「遅いなお前らは。柊斗もいい加減一人で起きれないと駄目だよ?」
「う〜ん、昨日遅かったから疲れてたんだよ」
癖毛の髪をくしゃっとかきあげ、冷蔵庫から牛乳をだしてる。
「もう背は伸びたから、飲まなくてもいんじゃない?」
葵がハムエッグののったお皿を置いて、柊斗の傍に来て手で自分の頭の高さと比べている。
けっこうな身長差だ。
柊斗はもともと牛乳がそんなに好きじゃない。
背が伸びたいという理由で中学校の時から無理して飲み続けている。
「そうなんだけど、習慣かな?」
コップに牛乳をつぎ、テーブルに置く。
ハムエッグにケチャップ、トースト、サラダ。
俺は和食をがっつり食べる。
葵がハムエッグ、玉子焼きをせっせとつくり、悠ちゃんがその傍でかいがいしく手伝う。
久しぶりに見る光景だ。
「はい、海斗」
味噌汁と玉子焼きを、俺の座ったテーブルに葵が用意してくれた。
「いただきます」
さっさと食べはじめる。
柊斗は相変わらずぼうっとした様子で食べている。
「葵も食べなね」
悠ちゃんがまた葵の傍に近寄る。
ちょっと、くっつき過ぎやしないか?
あとうろちょろし過ぎだ。
イラつく。
ふっと柊斗と目が合う。
何もかも見透かしたような視線。
ニヤリと笑う。
何だよ。
悠ちゃんのほうに視線を送り、両手を広げてやれやれというように首を振っている。
ふん。
あからさまにべたべたしやがって。
やる事がエロおやじなんだよ。
ピンポーン。
家のインターホンが鳴った。
それぞれが朝食を食べ終わって、皆で片づけをしていたところ。
ちなみに母さんはまだ寝ている。
割と不規則なほうで、昨日も帰りが遅かったようだ。
そろそろ学校に行こうかと思ってたから、俺が玄関のドアを開ける。
「おはよう」
実に爽やかな笑顔で、会いたくない奴がそこにいた。
