
キョウダイ
第6章 戦いの火蓋 2
「おい!起きろ!」
2階に上がり、柊斗の部屋のドアを乱暴に叩く。
「うう〜ん……」
寝惚けた声。
部屋にズカズカ入って、足で布団にくるまってる体を蹴りあげる。
ドスッ。
「痛いよ〜、葵ちゃんっ?」
モソモソっと、布団から姿を現し、俺と目が合うと、あからさまにがっかりした顔をした。
「なんで葵じゃないで海斗がいるわけ?朝からテンションさがるなあ」
ぶつぶつ言いながら、また布団にくるまろうとする。
「何やってんだ、こら、起きろ!」
「葵ちゃんじゃないと起きないし、海斗はいらないから、あっち行ってよ」
「ふざけんなよ、あいつにはもう起こさせねえよ!手間かけさせんな!」
ゲシッ、ゲシッ、布団の上から蹴りながら叫ぶ。
「何だよ、俺の楽しみを奪うなんてひどいよ」
「馬鹿か!あいつも俺が行くって言ったら喜んでたぞ、お前面倒だと思われてるぞ!」
ゲシッ、ゲシッと蹴りを続ける。
左手は骨折してるから、バランスを取るのが少し難しい。
「痛いってば!」
柊斗が布団をめくり、俺の足をいきなり掴んだ。
「わっ‼ばかっ!」
不意討ちだったから、やっぱりバランスを崩す。
「あっ!やばっ!」
倒れる、とっさに怪我した左手を庇うような受け身をとる。
ドサッと柊斗のベッドの上に倒れ込む。
「いって〜!」
「わあっ!」
「ちょっと柊ちゃんっ!いい加減にしないと遅刻……っ」
いいタイミングで、葵が部屋に入って来る。
俺は柊斗の体の上に乗っかり、柊斗はたぶん俺の怪我を庇うつもりで俺の背中に腕を伸ばしていた。
「ええっと、仲良しだね?BLネタにみんなが喜びそう」
カシャッ、チロリーン。
葵のやつ、写メ撮りやがった。
「馬鹿かお前っ?」
「ちょっと、葵ちゃんっ」
慌てて柊斗を睨みつけて、葵を追いかけた。
