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キョウダイ

第7章 学校でのキョウダイ





大きな門構え。



美しい庭園。



高そうな錦鯉が庭の池にいる。



近所でも評判のお花とお茶の先生が両親だ。



ひょっとして、真理ちゃんも知っている?



黙ったまま、真理ちゃんの顔を見つめるあたしに顔を寄せて、




「かいちゃんに好きだって言われたの?」




こそっと、耳元で囁かれた。



「……っ!真理ちゃん、ひょっとして、キョウダイじゃないって……!」



ひそひそ話をするあたし達。



「出会った時から知ってるよ?他に年の近い子とか近所にいなかったし、だから遊んでたんだもの」



あっさり言われてしまう。



「やっぱりそうなの?それともなんかされたとか?」



「いやいや、それは、ないっ」



全力で否定するあたしに、



「ふうん……」



あからさまに疑わしい眼差し。



「まぁ、いいけど?あたしが好きなのは悠ちゃんだからね?悠ちゃんは好きになっちゃだめよ?」



「ええっ、そうだったの?」



「あんなにアピールしてたのに、知らなかった?」



やれやれと溜め息をついている。



「うん、知らなかった」



「悠ちゃんのアパートに何度か勉強教えてもらいに行ったりしたのよ?」



「えっ?そうなの?」



実はあたし、ほとんど行った事ない。



大学の近くのアパートだから、わざわざ電車に乗ってまでは……、用事もないし。



引っ越しの手伝いで掃除に行ったきりかな。



「そうだっ、今日悠ちゃんのアパートに勉強教えてもらいに行こうかな?」



「朝は家でノートパソコンで勉強してたよ」



そういえば。



みんなが朝ご飯食べ終えて、片づけると、コーヒー飲みながらパソコンをうってた。



レポートだか、宿題なのか、良くは分からないけど、大学生になるとしょっちゅうパソコンを開いてる姿を見掛ける。




「じゃあ、先に連絡しておくわ」



にこにこしながらケータイを開く真理ちゃんの顔が、いつもより素敵に見えて、どきりとする。




ああ、これが。




恋する顔なのかな。




あたしはまだ。




恋を知らない。





ふっと思い浮かぶのは。




海斗の顔。




真っ直ぐな眼差し。




だけど、同時に思いだしてしまう。

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