テキストサイズ

キョウダイ

第10章 彼氏になれない







目が覚めると、隣に柊斗が眠っていた。




背が高いのに、猫みたいに体を丸めて。




天使のような寝顔。




綺麗な顔立ち。




睫毛が長い。




肌が白いほうで、すべすべしている。




この寝顔を守りたいと思った。




母性本能というやつかな?




でも男らしい体つき。




セクシーな男の色気を感じる。



でも顔立ちは綺麗で、ギャップがある。



アンバランスな感じもするけど。



そこがいい。






「見とれていた?」




いつの間にか、目が覚めていたのか、イタズラっぽい瞳と目が合う。




「違うもん、見てただけっ」




慌てて目を反らず。




「えっち」




頭を押さえられ、キスされる。




軽く、触れあうだけのキス。




ちゅっという音をたてる。




幸せだなと感じた。



嬉しい。




それから急に情けない顔になる。




「お腹空いた。ご飯作って?」




ああ、はいはい。




外はまだ薄暗い。




どっちみち晩ご飯をつくらなきゃいけない。



あと洗濯物も取り込んで、たたんで片付けないと。




「じゃあ、待っててね」








まずは台所に行ってご飯を炊いて。




冷蔵庫の中身を見る。




ミンチがあるからハンバーグにしよう。




それからシャワーを浴びて、ハンバーグの準備をして。



庭にでて洗濯物を取り込んでて、ふっと背後に人の気配。





ギクリとした。





鋭い目付きであたしを睨むように見ている。




ゆらりと不愉快なオーラを纏っている。






海斗だった。






ぎらりと瞳が光った。





「お前……、柊斗が好きなの?」





絞りだすような、掠れた声。





さあっと青ざめる。




まさか。




いつから家にいたんだろう?




家は広い家だ。




だけど。




あんなに大きな声じゃ……。



きっと、聞こえてる。



分かっている……?




だから不機嫌なんだ。






ストーリーメニュー

TOPTOPへ