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キョウダイ

第11章 皮肉な約束






結局顔色の悪い明を家で少し休ませてから、皆で学校に行った。



休めばいいのに、試験だからといって聞かなかった。



明のお母さんは成績の事に昔からうるさい。



なんでも一番じゃないと駄目みたい。



だからってあんなに具合悪そうなのに。



気まずい空気のなか、海斗にしっかり面倒見るように頼んだ。



試験が終わる頃はますます顔色が悪くなっていた。




当たり前だ。




普通にあたしを迎えに来たから驚いた。







「ちょっと、明っ、ばかじゃないのっ!」




顔面蒼白でふらふらな状態だった。




それなのに、



「周防先輩っ」

「相変わらずセクシー」

「儚げな色気がステキ」

キャーキャー騒ぐクラスメイト達にげんなりする。


どう見ても体調不良じゃん。


ばかじゃないの。


ってか馬鹿はお前じゃ、ばか明。


海斗はどうしたの?


って思ってたら、海斗の姿が見えた。


なぜだか道をよける女子生徒達。


顔を赤らめて、皆の視線が集まる。



「悪い、荷物まとめるのに手間取った」



はぁ、と息をついてる。



なんと言っても片手だからねぇ。



ちょっと同情する。



「ますますヤバそうじゃない明ってば、何やってるの?」


朝も一緒に学校に行った真理ちゃんがなかば呆れ気味だ。


「保健室行っとこうか?」


真理ちゃんの言葉にあたし達は頷くんだけど、



「大丈夫だ。薬も飲んでるから」



嫌がる様子。



プライドが高いのか、体が弱いくせに我慢する性格。


人に弱いところを見せたくないんだ。



こっそり隠れて見つけづらい所で倒れてたりした。



そこまで考えて、あれ?



いつの頃の話だっけ?



んんっ?


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