キョウダイ
第11章 皮肉な約束
「あたしだけっ、生き残るなんてっ!あたしも一緒にっ死んじゃえば良かったのにっ!」
「黙れって言ってるだろ!」
また、キスされる。
言葉とはうらはらに優しいキス。
ポロポロ涙が零れる。
優しく唇が重ねられ、あたしの上唇を軽く噛む。
「俺はお前が生きてて良かったと思ってる。だから、そんな事を言うな」
また、キスをされる。
何度も、触れては離れ、あたしの目をじっと見つめる。
「明の事何か思い出した?」
「あたし、明と大事な約束してたの……なのに……」
「その約束をお前は守れてないのか?」
「……え?」
またキスをされる。
流れ落ちる涙を拭うように、ぺろりとした舌が艶っぽく見えてぞくりとした。
「その約束はお前を縛るものなのか?」
首を振る。
だけど、奏ちゃんがいない……。
それが残酷な事実。
明は手術を終えて、生きて帰って来たのに、奏ちゃんはいないし、あたしは記憶を無くして覚えてないし。
ショックだったろう。
つらかっただろうと思う。
また新しい涙が零れる。
「もう泣くな。お前が泣くと、どうしたらいいかわかんね」
また、キスをされる。
触れるだけの、軽いキス。
上唇を軽く噛まれるだけで、あたしのあそこがじゅんとなる。
「抱かないの?」
「あ?お前……!」
はっとしたような顔をして、まじまじとあたしを見つめ、ぎらりとした光を放った。
「もう、知らねえぞ」
あたしの体の上にまたがり、また、唇を重ねられる。
今度は激しく舌まで絡められる。
「んんっ……!」
答えるように舌を絡める。
どうしてか分からない。
だけど、欲しいと思ってしまった。
抱かれたい。
何もかも忘れさせて欲しい。
もう、どうなってもいい、めちゃくちゃにされたい。
海斗の背中に手を回しながら目を閉じた。