キョウダイ
第13章 朝まで抱かれて。
あたしはびくん、首をすくめる。
「へえ?俺を無視するなんていい度胸だな?まあ、なんとなく事情は分かった」
ふうという溜め息。
それから、バタン、柊ちゃんの部屋のドアが開かれた。
「きゃあっっ」
びっくりして後ろに下がる。
「葵ちゃんっ?」
「お前……!なんて格好してんだ!」
あたしを見つめる海斗の顔が赤くなっている。
「だって……!」
柊ちゃんの白いTシャツ、どっかのブランドでなめらかな肌触り。
胸に英語の文字が格好良く入っているけど、いろいろ……透けちゃってる。
胸とかあそこ……とか、気付いて慌てて隠すように手で押さえていたら、バサッ、上から何かかけられる。
これ、悠ちゃんのジャケットだ……。
「おいで葵。こいつらにはゆっくりけんかさせといて、俺達はデートに行こうか?」
薄茶の前髪の奥から、艶やかな瞳が輝く。
誘うように揺れる、優しい眼差し。
ユラリと優しい陽だまりオーラを纏って。
こんな風に誘われて断れるわけない。
あたしはふらふらと、悠ちゃんの手を取った。
「ええっ!葵ちゃんっ?」
「おい、またか!?」
二人の声が聞こえるけど。
悠ちゃんに付いていきたい。
いろいろあって、身心共に疲れて、優しく包みこんでもらいたかった。
ただ、子供のように、甘えたかっただけなのに……。
いけない事だったの?