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夏恋

第1章 夏恋

「おい、俊(シュン)! サッカー行くぞ」

 今呼ばれたのは俊こと川口俊二(カワグチ シュンジ)くん。川口くんのことを遠くで見ているだけだった。見ているだけで良かった。ただの憧れのようなものだった。なのにどうしてだろう? 今はもっと近くにいたい。憧れが恋心に変わってしまった。

「分かった。すぐ行くよ。またな椎名(シイナ)


 川口くんに苗字を呼ばれるだけでドキリとする。二学期になって川口くんと仲良くなって、余計にそう思うようになったのかも知れない。

 きっかけは夏休みのあの日――。

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