箱……録
第4章 宝箱のある場所
しかし…右を見ても――…
左を見ても―――――…
同じ景色…
ふと――――――…
空を見上げれば…
上にあった太陽が夕暮れに傾き始めていた…
「モッちゃん、大丈夫?いっつも―――…ここらあたりで疲れてワガママを言ってたけど―――――…
もう大学生だし…言わないんだね」
後藤は、後ろを振り向き…ニカッと笑った―――――…
「―――…私…そんなワガママだった?
サッちゃん―――…
どこに向かってるの―…?」
私は、ポケットの中の鍵を握りしめながら後藤の楽しそうな背中をながめる…
「もう…何年も来てないから…記憶が曖昧かな?って思ったけど―――――…
やっぱり、私の記憶力は……
化物だ――――――――…」
後藤は……立ち止まり…
山の奥を指差す――――…
「――――…ここ…」
後藤の指差す先には…
岩肌がゴツゴツと見える蘿が絡まる…洞窟の入り口が見えた―――――…