箱……録
第5章 宝箱の―――…なか
「え?!やだ…
開けて!サッちゃん!!
冗談やめて!!
開けて!開けて!!」
「じゃぁ…そこにある…
遺体―――――…もう…骨か…誰のか解る?」
「――――…え…
キャアアアア――――――!
何っ?!サッちゃん!なに?なに?これ!!ひ…人の骨!!やだ!怖い!誰のよ」
やっぱり…ミイラにはなっておらず…
しっかり腐敗し…骨となった母がいるのか…と…納得した…
「なにって―――――…
モッちゃんが欲しがった…私のママだよ…
宝箱に閉じ込めたの…忘れたの?
しかも――――…
鍵を持って…消えたのは…モッちゃんなのに…ひどいなぁ…」
「えっ…え――――…う゛ぇ!!嘘!うそ―――!!
知らない…知らない―――…知らない!!」
「知らない訳ないじゃん…
私は、全部覚えてる……
私の記憶は……劣化しない…
消えない…良いように…塗り替えられない…」
私は、モッちゃんが大事にしていた鍵を握りしめ…
洞窟を外に向かって歩き出す…
モッちゃんは、あの日…
“私の宝箱”と言っていたが…
今のモッちゃんは…
“私達の宝箱”って言ってくれた…
だから今日からこの宝箱は、私の宝箱でもある――――…
私の…宝物…
この…鍵と宝箱…
そして――――…
消えることのない…
私の頭の中にある…記憶――…
記憶の箱は…いつもピカピカで…
色あせない――――…