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心はまるで水車のように

第1章 発端

「母さんね、再婚しようと思ってる人がいるの」

 それは突然やってきた。こんなはずじゃなかった。幸せだが代わり映えしない毎日。平凡な日常が続くはずだった。けれど、現実はうまくいかず。どうしてこうなってしまったのだろう。楽しい春休みが始まったばかりだというのに。

 父親の顔は産まれた時から知らない。私が八ヶ月の時、仕事中に建築現場から落ちて亡くなったそうだ。母親と二人。それでも不自由はしなかった。だって、産まれた時からその環境にいたのだから。

「どうして?」

 やっと出た言葉は、なんともシンプルで拍子抜けした。

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