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Sinful thread

第2章 喪心




──────朝。


泣き腫らした目に刺さる朝日が、いつもより痛い。
昨日あれだけ泣いたのに、思い出すとまた涙が溢れてきそうになる。


……あの人は、帰ったんだろうか。
彼女なら、もしかしたら泊まってるかもしれない。

そう考えると、嫉妬で胸が押し潰されそうだ。


顔を洗おうと洗面所に行くと、腫れぼったい目をした自分が鏡に映る。


ほんとに、酷い顔。
……大学、休んでしまいたい。


「あれ、希美もう起きた?」


物音に気付いたのか、葵が少しだけ開いたドアの隙間からひょこっと顔を出した。


……起きたんじゃない。
寝られるわけ、ないじゃない……。


 

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