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Sinful thread

第3章 愛欲



あたしの連絡を、待ってくれてたのかな……。


そんな、少し自意識過剰なことを思ってしまう。


……そういえば。
ふと思い出し、バッグからスマホを取り出す。

昨日からずっと、電源を落としたまのスマホ。


……今なら葵も寝てるから、怒られることもない。

あたしは葵が寝ているソファの前に座って、1日ぶりに電源を入れた。


「あ……」


思わずそう声が漏れてしまうほど。

電源が付いたスマホの通知は、葵からのメールと着信で埋め尽くされていた。

一番最近の通知は、30分前の着信。


葵、さっきまで起きてたんだ……。


通知の数を見ると、葵がどれほど心配してたかがわかる。


……ごめん、葵。ごめんね……。


「……起きて、葵」


軽く、葵の身体を揺さぶってみる。


あたしの腕の動きに合わせて揺れる葵の閉じられた瞼が、ゆっくりと開いた。





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