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Sinful thread

第4章 追想



それから何週間経っても、付き合えば好きになれるなんて安直な考えは、現実になることはなかった。


むしろ、希美への想いの方が増しているみたいだった。


きっと、希美も俺と同じ気持ちだ。


この頃にはもう、そんな確信があった。

自意識過剰と思われるかもしれない。
だけど、勘違いじゃない。
希美の態度で伝わってくる。

もう俺たちは、お互いに惹かれあっていた。


そんな罪悪感からか、芽依には、手を出すことが出来ずにいた。


希美が一緒に暮らすことになることは、芽依にも説明した。

芽依は怒ることも嫌がることもせず、きちんと理解してくれた。


……芽依がいい子であればあるほど、胸が痛む。


───それでも、そんな中途半端な状態のまま、その日は無情にもやって来てしまった。


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