
Sinful thread
第1章 居候
───ガチャッ
「あれ、希美寝てんの?」
葵のその声で、あたしの意識は覚醒した。
───あれ、葵ももうお風呂入ったのかな。
あたし、いつの間にかソファの上で寝ちゃってたんだ。
特に意味はないけど、あたしはそのまま寝たフリを決め込む。
「希美?大丈夫?」
そう言いながら近づいてくる、葵の気配を感じる。
それでもあたしは起きなかった。
ドサッ
あたしの頭のすぐ横が、沈む感覚がした。
同時にフワッと石鹸の香りが鼻をくすぐり、お風呂上がりの葵が横に座ったんだとわかる。
その刹那、寝転がったままのあたしの髪に、葵の手が触れた。
