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Sinful thread

第6章 色情



芽依の両腕が、ゆっくりと俺の背中に回る。
その両腕に、若干の戸惑いを感じる。


それでも、抱きしめ合った瞬間、芽依の温もりが体を伝い、鼓動が確かに耳に届いた。


それが速く感じるのは、酔いのせいなのか、ただの俺の勘違いか、それとも……



「葵くん……わたし、だめだ……」


「え?」



芽依の言葉の意味がよく分からず、思わず反射的に聞き返す。



「……もうなんか、これだけで……死んじゃいそうなくらい、ドキドキしてる……」



はにかむようにそう言った芽依を、俺は更に強く抱き締めた。



「ねぇ、葵くん……好きだよ。わたし……ほんとに、葵くんが好きなの……」



その言葉とともに、芽依は俺に応えるように強く抱き締め返す。



「俺も、芽依が好きだ」



本当はそう言いたい。

でも、今の俺には、建前だけでも口にするのは無理だった。

ほんのさっき、芽依ときちんと向き合おうと決めたばかりだ……。
今の俺は、まだ芽依を完全に好きじゃない。



認めたくなくても、心にはまだ、希美がいる……。





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