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『さちこ』

第1章 島谷病院

「佐々木さん、液体の飲み薬が好きですか?」

「粒の大きいのは飲み込む時に喉でひっかかってしんどいし、粉薬も口の中にバサバサくっついて残る感じが嫌いで…」

「じゃあ、田辺先生に飲みやすい薬に変えてもらえないか相談してみますね。希望はシロップタイプですか?」

田辺というのは、祥子の主治医である。

「薬なんてそんなことで変えれるんか?」

「どんなにいいお薬でも、飲まなきゃ効かないですからね。どうしても苦手で飲みにくければ、他のお薬を検討するのも一つの手です」

「…ふんっ…」

祥子は仏頂面でまた黙りこんでしまった。

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