『さちこ』
第4章 還暦な魔女
ほんのわずか5年前、病室のベッドの上で寝たきりになり、
「もう自分はこの先長くない」
と死に怯え、無気力になり、時の魔女を名乗るサチコに、
「55歳にして110歳相当」
とまで言われた『老婆』だった祥子は、もうどこにもいなかった。
5年前まで、弟家族以外に身内もいなかった祥子は、この日、夫と、3人の子ども達と、1人の嫁と、2人の孫を持つ大家族の一員になった。
5年前まで、小さな会社のヒラ社員でしかなかった祥子は、自分の力で店を開き、その経営を軌道にのせただけでなく、夫の経営する会社でも役員に名を連ね、女性ならではの細やかな視点で新しいアイデアを出し、夫の会社までもをさらに発展させていた。
祥子は、魔女サチコから教わった『鏡の魔法』で、人生を劇的に変えた。
還暦祝いで着る赤いちゃんちゃんこ代わりの赤色のカクテルドレス。
祥子は、鏡の魔法を扱う魔女になった。
(完)
「もう自分はこの先長くない」
と死に怯え、無気力になり、時の魔女を名乗るサチコに、
「55歳にして110歳相当」
とまで言われた『老婆』だった祥子は、もうどこにもいなかった。
5年前まで、弟家族以外に身内もいなかった祥子は、この日、夫と、3人の子ども達と、1人の嫁と、2人の孫を持つ大家族の一員になった。
5年前まで、小さな会社のヒラ社員でしかなかった祥子は、自分の力で店を開き、その経営を軌道にのせただけでなく、夫の経営する会社でも役員に名を連ね、女性ならではの細やかな視点で新しいアイデアを出し、夫の会社までもをさらに発展させていた。
祥子は、魔女サチコから教わった『鏡の魔法』で、人生を劇的に変えた。
還暦祝いで着る赤いちゃんちゃんこ代わりの赤色のカクテルドレス。
祥子は、鏡の魔法を扱う魔女になった。
(完)