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『さちこ』

第2章 時の魔女

午前2時、島谷病院511号室。

ぐっすりと眠っていた祥子は、2回ほど寝返りをうって目を覚ました。
月明かりすらない新月の夜、そして病室の電気もつけていないというのに眩しいほどに明るい。

部屋の中央に大きな光の塊があった。

祥子が薄目を開けて様子を伺っていると徐々に光が弱まり…そこには祥子(仮)が立っていた。

「…ぁぁ゛…ぁ…」

驚きのあまり言葉にならないのか口をパクパクとさせている祥子。

すっかり光が消えたところに、すました顔で祥子(仮)が立っている…。

ベッドから上半身を起こした祥子がようやく声を発した。

「……ワッペントリガー?」

「??」

祥子(仮)が訝しげな顔をする。

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