テキストサイズ

『さちこ』

第3章 新生:祥子

やがて、リハビリトレーニングが受けられるほどまでに回復した。

ベッドの中で寝たきりだった頃の面影は既に無い。

時の魔女サチコとの約束を守り、“今を生きる”祥子は、サチコから教えられた『鏡の魔法』を操り、どんどんと若さと健康を取り戻していった。

…祥子は魔法使いになったのだ。

無事に退院した祥子は、勤めていた会社の希望退職制度を利用して早期退職したあと、時間に融通の聞くシフト制のアルバイトをしながら、今まで、自分にはムリと諦めていたことの勉強を始めた。

今までの会社員生活での貯金と、早期退職で得た退職金で、アルバイトをせずとも5年間は普通に食べていけるだけの蓄えはあったが、若い子に混ざってファミレスで働いてみる、というのもまた、新しく挑戦してみたいことの一つだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ