刑事とBG
第1章 刑事とBG~前編~
――――
「…で、ずっとパーティー会場にいたんすか?」
「はい…私は旦那と一緒でした…」
今取り調べを受けていたのは、ゆうひの友達、榊原里沙の母親だった。
「そうっすか…ありがとうございます」
里沙の母親はペコッと頭を下げ、ソファーから立ち上がるとそのまま部屋を出て行った。
斉藤はグッと体を伸ばす。
「さっきの方で最後ですよ」
祐司はボソッと斉藤に伝えた。
「知ってら」
斉藤は祐司を睨みつける。
容疑者のアリバイは全員ない。
団蔵の娘夫婦は夫婦でずっと一緒にいたと言うが、親しい者の証言は認められないため、この二人もまた容疑者の対象になる。
「もうちょい…ヒントがねぇかなぁ…」
犯人の的を絞れるような何かが…
ひとつでもあれば…
「た、大変です!!」
突然、メイドの一人が駆け込んできた。
「どうしました?」
祐司は落ち着いてメイドに尋ねる。
「ひどい雨のせいで土砂崩れがありまして…
帰るための一本道が塞がってしまいました…!!」