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刑事とBG

第2章 刑事とBG~後編~



―――――――――――


『あ』


ゆうひは自分の部屋に戻ろうとしたとき、椅子に斉藤の財布が落ちていることに気づいた。


(…よく財布落とすなぁ…)


そんなことを考え、苦笑しながら斉藤が取り調べをしている部屋へ向かった。

廊下を進み、扉の前まで来たとき、中から声が聞こえてきた。

扉は少し開いていて、部屋の様子を見ることが出来る。


『…』


そっと覗くと、 沙也加が斉藤をベッドに押し倒しているのが見えた。


(…嘘でしょ…?)


その場にいられなくなり、ゆうひは走り去った。



『っ―――…』



(…嘘だよねえ…?)


視界がぼやけてくると、そこから一気に温かいものが頬を流れ落ちて行く。



『さぃ…と…ぉ』


ドンッ


角を曲がったところで、誰かとぶつかった。


『っ…!!
ご、ごめんなさ…』


急いで通り過ぎようとすると、腕を掴まれた。


「どうしたんですかっ…!?」


振り返ると、それは祐司だった。


『祐司さん…』


しかし自分が涙でぐしゃぐしゃだったのを思い出し、パッと顔を背けた。


『な…んでも、ないですょ…』


下を向いたまま去ろうとしたが、祐司は腕を離してはくれない。


「…話、聞きますよ?」

『…ゆぅじ…さぁん…』


自分の顔が…とか、そんなことはどうでもよくなった。


ただ何か…すがれるものが欲しくて、ゆうひは祐司に抱き着いた。



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