刑事とBG
第2章 刑事とBG~後編~
「確か斉藤さんの…」
『…はぃ、まぁ』
(やだ、早く離れよう…)
そう思い、ゆうひはトイレを出ようとした。
「斉藤さんって、一途な人よ?」
『えっ…』
思わず足を止めた。
「あたし、せっかく食べてあげようと思ったのに…
斉藤さん、それに気付くとすぐさま部屋を出て行ったわ」
残念だ、といった感じで沙也加は肩で息を吐いた。
『…』
曇りがかっていた気持ちが、徐々に晴れていく。
「"あいつを待たせてんだ"って、上手く話をはぐらかされてね。"あいつ"ってあなたのことでしょ?」
曇りが取れると、急に胸が潰される思いになった。
斉藤…ごめんね…
あたし、勝手に…
ゆうひは走った。
広い屋敷内を走り、斉藤を探した。
また涙が滲みはじめたが、そんなことより何より…
斉藤を探した。
「―――で、団蔵さんの過去の履歴とか…って、うおっ」
電話中に背中に衝撃を受け、斉藤は携帯を落としそうになった。
「…え
ゆうひ…??」
後ろから、細い腕が自分を抱きしめている。
「…」
突然どうしたのか不思議に思ったが、斉藤はゆうひの手を包み込み、そのまま電話を続けた。