刑事とBG
第2章 刑事とBG~後編~
「芳子!!」
聡が止めるが、芳子は決心した瞳で語り始めた。
「お義父さんを殺したのは、私なんです」
その言葉に、一同は息を飲んだ。
「芳子…」
聡は頭を抱えた。
「私はお義父さんに体の関係を求められてました…。聡さんの経営してた会社が倒産し、何億という借金があったことを理由に脅されてたんです、金が欲しければワシに抱かれろと」
「……」
一同は黙って話を聞いている。
「お金は小出しに渡され、そのたびに体を求められました」
「…僕は全く気づかなかったんだ、一年間も。ずっと芳子につらい思いをさせていた」
聡は悔しそうにダンッと机を叩いた。
「それで、今回誕生日パーティーで団蔵を殺すことを思いついたってわけか」
斉藤が口を開いた。
「計画したのは僕だ。親父は心臓病を患っていた。にもかかわらず、ウィスキーが大好物でよく発作を起こしてたよ。僕は客間に女を用意し、ウィスキーを飲ませるように指示をした」
「確かにベッドにウィスキーのこぼれたあとがあったな」
そう斉藤が言った後、
「若い女とセックスしたことにより、心拍数と血圧が上がり、更にウィスキーで発作を起こさせたんですね」
圭吾が口を開いた。
チッと斉藤は舌を鳴らす。
(…割り込んでくんじゃねぇよ)
「親父が発作で苦しみだしたのを見計らって、僕は女と交代し、持病の薬と偽って青酸カリを飲ませたんだ…だから親父を殺したのは、僕だ」
聡は全て自供した。
「あなた…」
「芳子は関係ないんだ…」
芳子は床にペタンと座り込んでしまった。
「んじゃ、とりあえず2人とも署まで同行してもらいましょーか」
そう言って斉藤が2人に手錠をかけようとした時、突然居間の電気がフッと消え…
バン!
バン!
バン!
居間の全ての扉が勝手に閉じられた。
「なっ…」
斉藤や祐司たちは身構える。