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刑事とBG

第2章 刑事とBG~後編~



…モノ…


…裏切リ者…



どこからか、声がする。


「ひっ…!」


聡は顔を歪ませながら、窓際の方を指差した。


「!」


そこには再び団蔵の霊が浮かび上がっていた。
すかさず祐司たちは、盾になるように聡と芳子を囲んだ。



…ワシノ邪魔ヲスルナ…



団蔵は怒りの表情を、祐司たちに向ける。

と、同時に椅子が宙に浮かび上がり、祐司たちめがけて飛んでいった。


「マジかよ!」


護は芳子を、圭吾は聡を庇い、椅子をよけていく。


「んだよっ…シャレになんねぇぞ!!」


斉藤は自力で逃げ回った。
祐司も避けながら、団蔵のもとに近づいていく。

避けられた椅子たちは、あちこちに散らばった。


「くそっ…あのじいさん、オレらも殺す気かよ!」


斉藤は叫んだ。


幽霊相手じゃどうすることもできないし…
そう思ってると、祐司が団蔵に向かって歩いていくのが見えた。


「おい、お前なにしてんだよ!」

「霊を説得する」

「はっ!? んなもん聞く相手かよっ…」


怒り狂う団蔵はおびただしい姿で、祐司を睨んだ。


「もう、やめませんか」


……ウルサイ……


「騙されて、殺されて…
怒り狂う気持ちもわかります」


……ウルサイ……


「でもあなたも、そのきっかけを作った…」


…ダマレ!!



団蔵はカッと目を見開き、右手を天に向かって上げた。


パンッ!
パンッ!
パンッ!


瞬間、窓ガラスが一気に割れ、ガラスの破片が祐司めがけて飛んでいく。


「…っ!」


チッと舌を鳴らしつつ、斉藤は祐司に向かって走った。祐司にタックルした後、間一髪、ソファーの陰に隠れる。

ガラスの破片はドスドスと勢いよく皮のソファーに突き刺さった。


「バカ!! だから危ねぇって言っただろ!!」


斉藤が祐司に怒鳴った。



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