刑事とBG
第2章 刑事とBG~後編~
祐司はそんな斉藤を見て、クスッと笑った。
「なんだよ?」
「いえ、助けてくれてありがとうございます」
「お、おう…」
いやに素直にお礼を言われて、斉藤は調子が狂う。
「斉藤さん、足速いんですね」
「まぁな、いつも犯人追いかけてっから」
「あの反射神経は羨ましいですよ」
「だてに刑事何年もやってねぇし」
斉藤と祐司は、顔を見合わせ笑った。
「実はオレら気が合うかもしんねぇな」
「ですね」
2人はそっと、ソファーから顔を出した。
「すげぇ、睨んでんだけど」
すると祐司は懐から袋に入った塩を取り出した。
「なんだ、それ」
「清め塩です。社長が何かあった時にって渡してくれたんで」
「んなもん効くのかよ」
「いちかばちか…」
「んじゃ、オレが引きつけっからよ!」
そう言って2人は同時に、ソファーから左右に分かれて走り出した。
団蔵は狙いを斉藤に向ける。
再び、壁に掛けられた絵画が斉藤めがけて飛んでいく。
斉藤は器用にそれをヒョイヒョイと避けていった。
…オノレェェ…
団蔵は狙いを、斉藤から聡と芳子に向けた。
団蔵は疾風のごとく、聡たちに襲いかかる。
圭吾はすかさずそばにあったワインボトルを手に取り、何か真言を唱え、辺りにワインを撒き散らした。
…ギャアアアァァ…
瞬間、団蔵が見えない壁に弾き飛ばされた。
「今のは…」
聡が震えながら口を開いた。
「見様見真似で、結界を張ってみました。意外と効くんですね」
圭吾はニコッと笑った。