しなやかな美獣たち
第1章 ♠:Vivid Colors 【学園・NL】
従兄に誘われて、付き合いで来た
金曜の夜のライブハウス。
僕は洋楽しか聴かないし、ガール
ズバンドにも興味はなかった。
昨日までは。
照明の落ちた黒の世界に唯一人、
鮮やかな色彩を放ち浮かび上がる
彼女。
アコギを掻き鳴らし、バラードを
唄っている彼女だけが、色彩を放
つ。
それまで激しく動き周り、汗に塗
れた彼女の首筋や腕に張り付く、
腰まである長い真っ直ぐな黒髪。
黒のエナメルのサイハイ・ブーツ
から伸びる脚は程よい肉が付き、
同色のエナメルのホットパンツの
中へと消えて行く。
着ている物はモノトーンなのに。
何故、彼女はあんなに鮮やかな
色を放って見えるのだろう。
それは照明の色なんかじゃなく。
彼女自身の生命の色。
僕はそれに魅せられた。