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しなやかな美獣たち

第1章 ♠:Vivid Colors 【学園・NL】


(ああ…怠い…)

僕はカツカツと音を立て身を削るチョークの音をBGMに、窓の外を眺める。

校庭ではどこかのクラスが体育の授業中だ。

黒板の上に掲げられている時計をチラッと見れば、授業が終わる迄、あと5分。

(午後はサボりたい…)

そんな気持ちが頭を擡げる、春麗らかなお昼前。

僕は欠伸を噛み殺し、黒板の文字をノートに書き写した。

親に無理を言って入った私立校なのにサボっちゃ駄目だと自分に言い聞かせる。

受験前は必死に勉強をして、頑張って入った高校なのに。

僕は受験で燃え尽きたのか、入学式が終わり、たった2週間でこのあり様だ。

都会と違い、選べる高校の数も少ない僕の住んでいる田舎では、公立の高校はピンとキリの2択しかない。

親は僕にキリの学校を薦めて来たが、僕はその学校には行きたくなかった。

だっておバカが集う男子校に誰が行きたいって思う?

しかし、どんなに頑張ったところでピンの学校に行けるまでの学力のない僕は、ピンより少しレベルが下がる私立校に行きたいと親に頼み込んだ。

しかも、この私立校は僕の住んでいる町から、電車で1時間も掛かる。

ひと月の定期代だって馬鹿にならない。

それで僕は、この学校のある街に住む、一つ年上の従兄の家に下宿をさせて貰う事になった。

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