しなやかな美獣たち
第3章 ♥:Sweet Beast【恋愛・NL】
その夜、私は結局寝かせて貰えなかった。優しそうな外見とは裏腹に、彼はガッツリな肉食系だったのだ。
時に優しく。
時に激しく。
私を翻弄する美しい獣(けだもの)。
私は彼に愛されて
新たなインスピレーションを得る。
「おおー!! 凄いじゃない。また新しくレビューされてるよ?」
スマートフォンを片手に、彼が私の肩を抱き寄せる。今は彼の部屋で、お互いの作品を読んでいるところだ。
彼に愛されるようになって、私の作品の幅が少しずつ広がり、レビューも段々増えてきていた。
勿論、彼も私と愛し合うようになって、作品の幅が広がったみたいで、大賞とまではいかないけれど、色んなコンテストに入選している。
ガッツリ肉食系の彼が書くのは、意外な事に正統派の純愛小説だ。彼の作品の多くは、揺れ動く心の襞を詳細に綴ったものだった。
「今度は合作で書いてみる?」
「それもいいね」
こんな話が出来るのも嬉しい。
あの時、彼が私のスマートフォンを隠したりする悪戯心を持たなければ、今の関係はなかったのかも知れない。
「そんな事ないよ。どうにかしてキミを堕としていたと思うよ?」
そう言って彼は笑いながら、私の胸を両手で包み込む。
「ちょっ!! まだ読んでるのに……」
「そんなの後で。それよりエッチしよ?」
スマートフォンを取り上げると、彼はソファに私を押し倒した。多い被さる彼の目が獲物を狙う獣の目に変わる。
でも、そんな彼を愛する私は、彼の餌食となる為に、彼の首に腕を回すのだった。
~Sweet Beast~