しなやかな美獣たち
第5章 ♥:最後のキスは死神と【ファンタジー・NL】
あたしが最後の願いを口にすると、男は泣きながら笑って、「分かった」と言った。そして、あたしの胸元にきつく吸い付く。男が唇を離すと、そこには赤い痕が刻まれていた。
「契約の証だ」
男は愛おしそうにその痕を指先で撫でて、そう言った。「お前の魂にも、刻み付けておくから、安心して俺を待っていろ」と。
男に激しく穿たれながら、あたしは口付けを強請る。
優しい唇を。貴方の感触を最後にもう一度感じさせて。
唇を合わせ、舌を絡ませ、互いの熱を与え合う。
あたしの中で男の熱が、弾ける瞬間を目指して行き来する。
快楽の波に攫われた思考は、白く濁り始めていて。
男の愛があたしの中で弾けた瞬間。
あたしは意識を手放した────。