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　もうこの二人を羨ましいと思う自分はいない。この二人は私達の目標だ。

　優祐さんの電話番号は、俊哉の時とは違ってあっけなく消してしまった。転勤先の東京で今、どうしているのか。私は何も知らない。ただ、俊哉が最後に話した時、

「今までの僕は現実から目を背けていただけの最低男でした。あのあと、普段は強気な妻を泣かせてしまい……。許されることではないけれど、それでも……これからは妻と息子を大切にして生きていこうと思います」

　と言って、電話を切ったそうだ。だから、私も美羽ちゃんもそれを信じることにした。

　それぞれの人生。遠回りしたことはきっと無駄ではなかった。だって、大切なことにそれぞれ気づけたのだから。

　幸せになることは、簡単ではない。

　けれど――…


　人は幸せになる為に生まれてくる。


　甘酸っぱい果実のその果てにある答え。それを見つけられるか、見つけられないかは、あなた次第。

　　　　　　　　　　　　　　　End.