テキストサイズ

甘酸っぱい果実のその果てに

第8章 甘酸っぱい果実のその果てに

「いえいえ。美羽ちゃんのおかげで、こうなれたようなもんだから」

「いやいや、私は何も……」

「あの時、かっこよかったよ」

「もう、やめてや。ってかもうすっかり大阪弁も抜けてもうたんやなぁ」

「俊哉が直してくれた」

「そろそろ、時間ですよ」

「あ、はい」

 スタッフさんに言われて、木崎一家は教会の席に戻っていき、私も立ち位置についた。

 父親とのバージンロードを歩く。父親は既に涙目だ。

「誓います」

 お互いの誓い。誓いのキス。両親への手紙は、書かなかった。代わりに両親への感謝を込めた大好きな歌を歌った。みんな大泣き。

 その後は、披露宴と二次会。一人娘、一人息子ということで盛大に開いた。二次会では、美羽ちゃんとさっきの歌の歌手の話。瞬一さんとの出会いから結婚するまでの話をもう一度、聞いたりした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ