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甘酸っぱい果実のその果てに

第2章 恋のお相手

「ねぇ? 優祐さんは、結婚生活に何が不満なんですか?」

「えっ……?」

「あっ…突然すみません」

 つい思っていたことが口をついてしまった。手で口を押さえる。

「いや、いいよ。僕さ、嫁のこと一度も好きって思ったことないんだよ。嫁とは幼馴染でさ。僕が二十九歳の時、五年付き合った彼女が二股をした挙句、相手の男と結婚することになったんだ。その時、自暴自棄になって、嫁を抱いたんだ。そしたら、そのたった一回で妊娠したみたいで……。幼馴染の手前、結婚するしかなくて。嫁は、僕のこと騙したんだよ。安全日だって言ったのに、それは本当は危険日だったんだ。嫁は小さい頃から俺のことが好きだったみたい。だから僕は嫁のこと恨んでるし、約十年くらい別居してる。……なんで、優衣ちゃんが泣くんだよ?」

 あれ、本当だ。頬が濡れている。きっとこれは優祐さんの誰にも言えない過去。私に明かしてくれたということは、期待していいのかな。自惚れていいのかな。

「ごめんなさい。ねぇ、優祐さん。今日はもう一回、貴方が欲しいです」

 私の言葉を合図に私達は、もう一度、抱き合った。

「優衣、好きだ――」

 優祐さんの優しい声が耳に静かに響く。

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