
宇宙
第1章 もう一人の私
絢は用紙を表にめくり返し問題に目を通した。
ーーこの問題、、、できる!
絢は昨日瑞穂の家にお邪魔して、遅くまで教えてもらっていたのだった。
数学の苦手な絢は、掛け算すらもまともに出来ないレベルだったが、それでも瑞穂は女神のような優しい瞳で、子守唄のような柔らかな声で(この声で少し眠くなったのは内緒)最後まで教えてくれた。
3日で忘れてしまう絢だったが昨日の今日だ、絢の持つ鉛筆は軽やかに動いた。
終わりの時間になり用紙は後ろから前へと回収され、絢は瑞穂に目配せをし、胸元で小さくピースをした。
マツカベは相変わらず口をへの字にしたまま回収された用紙に一通り目を通している。
途中、マツカベの手が止まった。ネリカベのように目を細め一枚の用紙を見つめ、そして顔を上げ前を向いた。
「森本。」
相変わらずの落ち着き払った静かなトーンで、マツカベは絢の名前を呼んだ。
「えっ、はいっはいっ!」
両手を組み前へ伸ばしていた絢は、おたおたしながら返事をした。
そんな絢をよそに、マツカベは何も言わず手招きをした。周りのクラスメイトは見てはいけないものを見てしまった様な顔をし一瞥した。
ーーこの問題、、、できる!
絢は昨日瑞穂の家にお邪魔して、遅くまで教えてもらっていたのだった。
数学の苦手な絢は、掛け算すらもまともに出来ないレベルだったが、それでも瑞穂は女神のような優しい瞳で、子守唄のような柔らかな声で(この声で少し眠くなったのは内緒)最後まで教えてくれた。
3日で忘れてしまう絢だったが昨日の今日だ、絢の持つ鉛筆は軽やかに動いた。
終わりの時間になり用紙は後ろから前へと回収され、絢は瑞穂に目配せをし、胸元で小さくピースをした。
マツカベは相変わらず口をへの字にしたまま回収された用紙に一通り目を通している。
途中、マツカベの手が止まった。ネリカベのように目を細め一枚の用紙を見つめ、そして顔を上げ前を向いた。
「森本。」
相変わらずの落ち着き払った静かなトーンで、マツカベは絢の名前を呼んだ。
「えっ、はいっはいっ!」
両手を組み前へ伸ばしていた絢は、おたおたしながら返事をした。
そんな絢をよそに、マツカベは何も言わず手招きをした。周りのクラスメイトは見てはいけないものを見てしまった様な顔をし一瞥した。
