旅は続くよ
第17章 八つ当たり
Nside
村尾さんに会うと言ってはみたものの
たった数日で俺は後悔し始めていた
…コン、コン
翔ちゃんが俺の部屋をノックする音も
何とも苦々しく聞こえて
俺は黙ったまま翔ちゃんを招き入れた
S「ニノ。今週金曜の午後、空いてる?」
N「………」
予定なんか当然空いてる
ほぼほぼ休業中なんだからガラ空きだ
でも、それを素直に言いたくない
S「村尾さんからOK貰えたからさ」
N「………」
村尾さんに会ってみたい気はする
ただそれは、単純にアイドルに会いたい気持ちと一緒なだけで
仕事を貰おうなんて気持ちには…
S「ニノ…?」
N「………」
分かってるよ
これは翔ちゃんの“善意”だって
でも受け取る側の俺からすりゃ“余計なお節介”なんだよ
翔ちゃんが心配そうに俺の顔を覗き込む
その視線から逃げるように俯いた
それでも翔ちゃんは何も言わずに
ただ、俺の言葉を待ってるようだった
N「…あの、さ……」
S「うん」
結局、沈黙に負けたのは俺
でも何をどう言ったらいいか分からない
N「…やっぱ…、会わなきゃダメ?」
S「うん」
N「うん、って…。俺…、やっぱ…」
S「嫌?なんで?」
N「なんで、って…」
理由は…
億劫だから
面倒くさいから
いや、ホントは違う
……怖いんだ…
憧れの人に会えると決まって
俺はいろいろ想像してみたんだよ
密かにワクワクと、まるで小学生みたいな気持ちでさ
だってこんな貴重な機会は無いもん
でも、何度想像してみても
偉大な功績を持つカリスマ編集長
その前に立つ…ちっぽけな俺
何の実績も無い
おまけに開店休業中だし
…何を言えばいいんだよ…
N「…会って…俺、何すりゃいいの?」
S「何もしなくていいよ。会うだけ」
N「…んなわけ無いじゃん」
S「ホントだよ」
N「…ははっ。会うだけで済むの?翔ちゃんのお膳立てで?スゴイね」
S「…俺にそこまでの力は無いよ。
でも村尾さんには話してあるから。
きっと向こうから話して貰えるよ」
N「…なんだ、『お前なんかいらない』ってワザワザ聞きに行くだけかよ」
S「そうとは限らないだろ?」
N「そうに決まってるよ…っ!」
気づいちゃったんだ
どんなに自分が空っぽなのか…
村尾さんに会うと言ってはみたものの
たった数日で俺は後悔し始めていた
…コン、コン
翔ちゃんが俺の部屋をノックする音も
何とも苦々しく聞こえて
俺は黙ったまま翔ちゃんを招き入れた
S「ニノ。今週金曜の午後、空いてる?」
N「………」
予定なんか当然空いてる
ほぼほぼ休業中なんだからガラ空きだ
でも、それを素直に言いたくない
S「村尾さんからOK貰えたからさ」
N「………」
村尾さんに会ってみたい気はする
ただそれは、単純にアイドルに会いたい気持ちと一緒なだけで
仕事を貰おうなんて気持ちには…
S「ニノ…?」
N「………」
分かってるよ
これは翔ちゃんの“善意”だって
でも受け取る側の俺からすりゃ“余計なお節介”なんだよ
翔ちゃんが心配そうに俺の顔を覗き込む
その視線から逃げるように俯いた
それでも翔ちゃんは何も言わずに
ただ、俺の言葉を待ってるようだった
N「…あの、さ……」
S「うん」
結局、沈黙に負けたのは俺
でも何をどう言ったらいいか分からない
N「…やっぱ…、会わなきゃダメ?」
S「うん」
N「うん、って…。俺…、やっぱ…」
S「嫌?なんで?」
N「なんで、って…」
理由は…
億劫だから
面倒くさいから
いや、ホントは違う
……怖いんだ…
憧れの人に会えると決まって
俺はいろいろ想像してみたんだよ
密かにワクワクと、まるで小学生みたいな気持ちでさ
だってこんな貴重な機会は無いもん
でも、何度想像してみても
偉大な功績を持つカリスマ編集長
その前に立つ…ちっぽけな俺
何の実績も無い
おまけに開店休業中だし
…何を言えばいいんだよ…
N「…会って…俺、何すりゃいいの?」
S「何もしなくていいよ。会うだけ」
N「…んなわけ無いじゃん」
S「ホントだよ」
N「…ははっ。会うだけで済むの?翔ちゃんのお膳立てで?スゴイね」
S「…俺にそこまでの力は無いよ。
でも村尾さんには話してあるから。
きっと向こうから話して貰えるよ」
N「…なんだ、『お前なんかいらない』ってワザワザ聞きに行くだけかよ」
S「そうとは限らないだろ?」
N「そうに決まってるよ…っ!」
気づいちゃったんだ
どんなに自分が空っぽなのか…