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旅は続くよ

第20章 心配だけど

Nside



家に帰ったら、さと兄が慣れない手つきで夕飯の支度をしてた

N「どうしたの?珍しい」

O「どうもこうもねぇよ。ほれ、手伝ってくれぃ」


極太のキャベツの千切りに四苦八苦するさと兄と交代して

一緒に台所に立ちながら話を聞くと

店番から戻ってきたさと兄が台所に来たら

ボーっとしたまま夕飯の支度をする相葉さんが1人いたと言う


O「危なっかしくてしょうがねんだよ、とにかく。
『心ここに在らず』って感じでさ、
肉の下味に醤油ドボドボかけてるし、
包丁で手ぇ切りそうになってるしさ」

N「潤くんは?」

O「それがさ、『潤はどうした?』って聞いたら『暫く戻ってこない』って、ポロポロ泣き出す始末でさぁ…。
頭冷やして来いって、部屋に返したよ」

N「泣くって…、なんで?」

O「知らねぇよ。あ、ニノ、そこ味噌入れて」

N「はいよ」


火を止めた鍋に味噌を入れて溶きながら、泣いたという相葉さんを思った

潤くんと何があったんだろう?

あの人が泣くなんて珍しい…

潤くんとケンカしたとか?

それこそ珍しい気がした

あの兄弟とは長い付き合いになるけど、ケンカしたとこなんて1度も見たことない

言い争いになるとすれば、それは必ず“ホントの兄弟か云々”といった事で

ほぼほぼネタなんじゃないかって位、相葉さんが兄弟愛を訴えて終わるんだ


N「何があったのかなぁ…」

味噌汁を完成させて振り向くと

さと兄は極太キャベツを皿に山盛りにしながら、

さぁな~、と首を捻った

O「あそこの兄弟も複雑だからな。
…特に潤は…、まぁイロイロあるわな」

N「さと兄んとこも複雑じゃない」

O「ウチはシンプルだよ。従兄弟だけど連れ子同士の兄弟だもん。
そりゃ…籍はまだ入ってなかったけどさ。
まあ、父ちゃんも母ちゃんも今頃アッチで結婚してっだろうから、名実ともに兄弟だろ」

N「アンタね、…まぁいいけどさ。
でも相葉さんとこだって血が半分繋がって…」

言いながら気がついた


そうだ、あるじゃないか

相葉さんが泣いてしまうような火種が


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