旅は続くよ
第22章 分かんないよ
ASide
夜営業の開店時間になって
今日も忙しくなればいいな、と思った
どんどん注文が入って、何も考えられなくなるくらいになればいい
そしたら時間に追われるだけ
全部忘れて頭カラッポに出来るのに…
でも、そう思うって事は
常に考えちゃってるって証拠なんだよな…
そんな事グルグル考えながら
今日のお薦めメニューの八宝菜の具材をひたすら切り続けてた
「相葉さん、お客様」
フロア係の女の子が厨房に顔を出して俺を呼ぶ
A「俺に?」
潤かな
咄嗟に潤が来たのかと思った
「いつものお友達」
A「ああ…、はい。今行きます」
コックコートの襟をキチンと締めてフロアに出ると
カウンターの隅のいつもの席でニコニコと小さく手を振る男がいた
N「どうもね。家出男さん」
やっぱりニノだ
そうだよな
潤は滅多な事がなければ職場に来ないもの
席まで行くと、尚もニノは俺の顔をジッと見たから
俺は思わず目を逸らしてしまった
だって、メールも電話も無視した手前
バツが悪いような気がしたから
A「…どうしたの。メシ食いに来たの?」
N「何言ってんの。アンタに会いに来たんでしょうが」
…うん
だろうね
そんな事もあるだろうなって、頭の何処かでわかってた
だからって、どうしたらいいのか全然わかんないけど
N「仕事終わるまであと何時間?」
A「ん…、あと4時間」
N「結構あんね。じゃ、他で時間潰してまた後で来るわ」
ニノはガタンと席を立つと
N「逃げんなよ?」
おどけて笑って見せた
俺も釣られて笑ったけど、薄い笑みが零れただけ
逃げんなよって?
逃げれるもんなら、とっくに逃げてるよ
夜営業の開店時間になって
今日も忙しくなればいいな、と思った
どんどん注文が入って、何も考えられなくなるくらいになればいい
そしたら時間に追われるだけ
全部忘れて頭カラッポに出来るのに…
でも、そう思うって事は
常に考えちゃってるって証拠なんだよな…
そんな事グルグル考えながら
今日のお薦めメニューの八宝菜の具材をひたすら切り続けてた
「相葉さん、お客様」
フロア係の女の子が厨房に顔を出して俺を呼ぶ
A「俺に?」
潤かな
咄嗟に潤が来たのかと思った
「いつものお友達」
A「ああ…、はい。今行きます」
コックコートの襟をキチンと締めてフロアに出ると
カウンターの隅のいつもの席でニコニコと小さく手を振る男がいた
N「どうもね。家出男さん」
やっぱりニノだ
そうだよな
潤は滅多な事がなければ職場に来ないもの
席まで行くと、尚もニノは俺の顔をジッと見たから
俺は思わず目を逸らしてしまった
だって、メールも電話も無視した手前
バツが悪いような気がしたから
A「…どうしたの。メシ食いに来たの?」
N「何言ってんの。アンタに会いに来たんでしょうが」
…うん
だろうね
そんな事もあるだろうなって、頭の何処かでわかってた
だからって、どうしたらいいのか全然わかんないけど
N「仕事終わるまであと何時間?」
A「ん…、あと4時間」
N「結構あんね。じゃ、他で時間潰してまた後で来るわ」
ニノはガタンと席を立つと
N「逃げんなよ?」
おどけて笑って見せた
俺も釣られて笑ったけど、薄い笑みが零れただけ
逃げんなよって?
逃げれるもんなら、とっくに逃げてるよ