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旅は続くよ

第22章 分かんないよ

N「ふふっ。潤くん、コッテリさと兄に怒られてたよ」

A「えっ?さと兄に?」

N「帰って来いって怒鳴られてた。
2、3日したら大学から帰ってくるって。アンタは?」

A「…俺?」

N「今日はもう仕事終わったんでしょ。どうすんの?」

A「…まだ帰らない」


まだ潤に会えない

ホントは今すごく

潤に会いたくなってるけど

このままじゃ、また泣かせちゃうから


N「わかった。…さと兄には俺から言っとくからさ、怒んないでやってくれって」

ニノが残った缶コーヒーを全部飲み干して

俺も気が抜けた炭酸飲料を煽った

N「もうシュワッとしてないでしょ」

A「…全然。甘いだけ」

ふふっと笑ってニノが言った


N「…早く帰ってきな。
そしたらいい事報告してあげる」

A「さっきからソレ言ってるね。何?」

N「まだダメー」

A「なんだよ~。勿体ぶって」

N「ホントはさ、相葉さんにも今すぐ言いたいんだけどね。
…翔ちゃんに1番に報告するって決めてんの」

A「翔ちゃんに…?」

N「うん」

頷くニノは少しハニかんでるようにも見えた


A「ニノは翔ちゃんが好きなの?」

N「やっだなー、そんなんじゃないって。
そんなんじゃないんだけど…」

A「…けど?」

N「…なんかね。なんか…、随分心が軽くなった気がする。
翔ちゃんが…俺の中のドロッとしたもんを洗ってくれたおかげなんだ…と思う…」


不思議な気分だった

ニノが照れたように翔ちゃんの話をしてるのに

ちっとも嫉妬めいた気持ちがしなかった


ああ…、翔ちゃん頑張ったんだなって

俺が守ってやるつもりでそのままにしてたニノを

翔ちゃんが明るい所まで連れてったんだなって

穏やかな気持ちで聞いていた



N「じゃ、俺行くわ」

ベンチからニノが立ち上がってから、俺も同じように腰を上げた

A「じゃあね、気を付けて」

N「アンタも早めに帰ってきなよ」


手を振って歩き出すニノを見送る俺の胸は

潤の事で溢れていた





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