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旅は続くよ

第24章 帰ってきてよ

まー兄の反応が怖い

『良かった』って、ホッとされたら?

『ブラコンだもんな』って笑われたら?

この期に及んで、まだそんな事考えてる

好きになって貰えないと分かってるくせに

いや…、分かってるフリをしてたくせに

俺はまだ…怖いなんて…


M「ゴメンね、散々悩ませたよね。
でもこれでもうお終いだからさ。
…だから…、帰って来てよ…」


まー兄がイヤイヤをするように首を横に振った

どういう意味だろう…

でも

帰ってくるのが嫌なのか

それとも、この嘘が通用しなくて俺が嫌なのか…

そこまで確かめる勇気は出なかった


M「…何なら…俺があの家を出るから」

A「ダメ…。潤……、ダ、メだよ…」

M「まー兄が帰ってこないならそうする」


もうダメだ

耐え切れない

このまま傍にいると、また“あの時”を繰り返してしまいそうだ


M「…とにかく、早く帰って来て」

それだけ言うと俺は立ち上がった

もう一瞬でもここにいるのは無理だ

M「…じゃあ…」


その時、まー兄が俺の腕を掴んだ

潤んだ目で

縋るように


…もう…、無理……


頭が真っ白になって

咄嗟に振り払って走り出した


A「…潤っ!」

公園を出る頃、まー兄の声が響いても、足を止めなかった



全速力で

闇雲に曲がり角を何度も駆け抜けて

足が千切れそうになるまで走って

M「……ハッ…、ハァッ、ハァッ…」

見知らぬビルの隙間に潜り込んだ



M「……何処だ、ここ…」

取り敢えず、まー兄の姿は無い

そもそも追って来たかどうか分からないけど…


M「…フッ、……ハハッ…」

何やってんだ俺…

バカバカしくて笑えてくる

結局逃げたんじゃないか

せっかく考えたセリフも全て台無しにして…

苦しい思いでついた嘘も

取り戻したい時間もダメにした

どこまで俺はバカなんだよ…!


M「……ック…」

人影も無い、こんな場所で

抑えきれない涙が溢れて来る


ゴメン…

まー兄、ゴメンね…

こんなに好きで

嘘もつき通せないくらい好きで

苦しめて

全部、俺のせいで…


M「…ン、ック…、……ぅぅっ…」

俺なんかが泣いたってどうしようもないのに

止まらない


もう…、消えてしまいたかった…









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