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旅は続くよ

第28章 信じて

A「なんか…、全然上手く言えてないけど…
とにかく、俺はちゃんと好きだから。
なんか…ちゃんと、ってのも変なんだけどさ…」

そこでまー兄は言葉を止めて

黙って聞いてた俺に抱きついてきた


M「ちょっ…、えっ?」

A「…これで分かる?」

M「分かる?って、まー兄」

A「いいから。潤も俺が好きなら抱きしめてっ」

M「え、待って。でも」

A「うるさいっ。好きじゃなきゃ突き放せばいいじゃん」


ズルイ

まー兄、それはズルイよ…

こんなの、抱きしめたいに決まってるじゃん

でも、俺だって今までそれなりに覚悟してたのに

こんな急に…


戸惑ってたら、まー兄がギュッと腕に力を入れた

ズルイ

こんな抱きしめられたら…

今まで考えてきた事、全部吹っ飛んでくじゃないか


M「…聞いてもいい?」

A「…ダメ」

M「お願い、まー兄。俺の話も聞いて」

A「…なんだよ」

M「ホントに…いいの?
俺…抱きしめ返したら、もう絶対離さないよ?」


長い間、まー兄だけを想ってた

どんなにダメだと思っても諦められなかった

そんな人を、今腕の中に抱いたら…

俺はどんなに惨めになっても2度と手放せなくなるだろう


M「いいの?信じても…」

A「うん。信じて…」

M「後で同情だったとか、勘違いだったとか言われても…
もう引き返せないよ?
まー兄が嫌がっても、後悔しても、俺…」

A「潤」


胸元で呼ばれて

A「…大好き…」

囁かれた刹那

俺は力一杯、まー兄を抱きしめ返した


M「まー兄!俺も、…俺も…っ」


好き

どうしようもないくらい好きなんだよ

自然と腕に力が篭もる

腕の中の幸せが逃げて行かないように


背中に回ったまー兄の腕が、ギュッと俺の体を包んでくれる

鼻先をくすぐるまー兄の髪の香り

…夢…、見てるみたいだ…

夢でもいい

一生醒めないで…


A「……潤…」

耳元で甘い声で呼ばれて

ふと合わさった視線


何か、訴えるような瞳

誘うような口元

何だか…、泣きそうになるよ…


恐る恐る顔を寄せると

…全然逃げないんだね

まー兄の甘い息が、すぐそこに感じる


もう引き返せない

逃がしてあげられないよ…


ゆっくりと、距離を縮める

柔らかな唇に辿り着いた時

堪え切れない涙が俺の頬を伝っていた


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