テキストサイズ

旅は続くよ

第31章 反比例な気持ち

Nside



例えば

今まで一貫して『無理だ』とか『興味もない』と通してきたものが

実はそんなに無理でもなくて興味もない訳じゃないとしたら

いや、寧ろ興味出てきたんだって事をさりげなく伝えたいんだとしたら

一体どうしたらいいもんですかね?


更に言うと

今までウジウジ暗いこと考えてたのが

全部とは言えないけど、だいぶ霧が晴れたように視界が開けた途端

手を引いて明るいところに導いてくれたその人を妙に気にしちゃうという

自分でもこっ恥ずかしくなるような単純極まりないこの状況を

一体どうしたらいいのか困ってんですよ


え?

何言ってるかわかんない?

要するにさ


S「ニノ」

N「は、はいっ?」

S「…アイス食う?」

N「あ、や、えと……、今はいいや」


もう~~!!!

意識しすぎなんだよ

自分でもわかってんだよ

俺、なんか今、声裏返ってなかった?

2人きりのリビングは変な沈黙が広がってて

テレビから流れてくるガヤ笑いが場違いに響いて

何言えばいいんだろう?

今までどんな風に話してたっけ?

妙な意識がが思考回路を狂わせて、焦りが更に焦りを呼ぶ


S「…新しい仕事、どう?」

N「し、仕事?…あ~、順調順調。新しい企画だから試行錯誤だけどね」

S「そっか、良かったな」

N「うん」

S「………」

N「………」


あーん、しまった~!

もっと話膨らませりゃ良かった!

会話途切れちゃったじゃないのっ


クソ相葉め~

アイツのせいだ

アイツが潤くんと幸せそうにイチャイチャしてるから

羨ましくなるような恋バナなんてするから

そのうえ『実は案外翔ちゃんの事好きになってきたんじゃないの?』なんて

変な直感を脳みそから垂れ流すから

変に意識しちゃうじゃねーかよっ!


どうしよう…

こんな時に限って空回りした思考は、脱線して余計な所をグルグル巡る

翔ちゃんはなんで黙ってんのかな

何考えてんのかな

ふっと翔ちゃんの座ってる斜め方向に目を向けると

視線が偶然ぶつかって、思わずパッと逸らしてしまった


くそ…っ

何だよ、あの目

もう…反則なんだよ

真っ直ぐ見つめられて体中の血が一瞬止まった

俺の事なんて全部見透かしてしまいそうな視線から

激しく動く心臓を隠すのに精一杯になってしまう


ストーリーメニュー

TOPTOPへ