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旅は続くよ

第31章 反比例な気持ち

ちょうどその時

A「ただーいまー」

相葉さんの声が玄関から響いて

N「おかえりー」

天の助けだと思えた

さっきは『クソ相葉』なんて悪態ついたけどさ

ほら、3人でお喋りすれば普通にできるかもじゃない?

なんか…変に意識しちゃうんだけどさ

前みたいに翔ちゃんと普通に喋りたい

一緒にたくさん笑い合いたいんだ


N「仕事お疲れ」

A「わっ、何?キモッ」

N「ちょっ、何それ!」

A「だって、そんな殊勝な事言って~。お土産なんてねーぞ?」

N「なんて失礼な。人を追いはぎみたいに」

A「え、それは追いはぎに失礼だろ」

N「おいっ」

S「…俺、風呂入って寝るわ」


え?

あ、ちょっと…!

相葉さんとくだらない事言い合ってる内に、肝心の翔ちゃんがリビングから出て行ってしまった


N「…翔ちゃん!」

思わず追いかけて廊下に出た

S「…なに?」


リビングから漏れる灯りだけの廊下だから

振り向いた翔ちゃんの表情がよくわからない

かろうじて薄く微笑んでる口元だけが見えた


追いかけてきたものの、かける言葉が見つからない

N「…風呂…」

S「あ、先に入りたかった?」


違う

そうじゃない

ただ「風呂に入っちゃうの?」と言いたいだけ

それも上手く言えないけど


まさか「一緒に入ろう」とは言えないし

だって、翔ちゃんは相葉さんとは違う

翔ちゃんとは一緒に入れない

そんな恥ずかしい事できるわけがない

でも、何か言いたい

見つからない

一瞬の内にそんな事がすごい速さでグルグル巡って


N「…おやすみなさい」

結局、言えたのはそれだけ


S「…ん。おやすみ…」

風呂場に消えていく背中を見送ることしか出来なかった




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