
旅は続くよ
第31章 反比例な気持ち
Sside
「…はあぁ……」
湯船に浸かって大きく吐いた息は
風呂に入った時の気持ち良さを表すものじゃなく、深い溜息だった
…何やってんだ、俺
まるで逃げたみたいな自分に愛想が尽きてきた
ニノと2人きりになって、何話していいのかわかんなくなって
やっと出てきた言葉が『…アイス食う?』
アホか、俺は
これじゃイカンと仕切り直した言葉が『…新しい仕事、どう?』
俺は思春期の息子相手に何話したらいいか悩む父親か
どんだけヘタクソだっての
でも…
口開けば雅紀との事を聞いてしまいそうになるんだ
坂道で手を繋いでた2人の姿が忘れられない
かと言って、特に変わった様子はないし
いや、何だかイチャイチャしてたような
でも、あの2人はいつも子犬みたいにジャレ合ってるし…
気にすれば気にするほど何だかぎこちなくなって
それ以外に話したい事が見つからなくなって
思考回路は機能を停止してしまった
ホントは聞きたくなんかない
はっきりとニノの口から幸せな報告なんてされたくない
それでも気になって仕方なくて
やっぱり傍にいたくて
矛盾を抱えたまま、ニッチもサッチも行かなくなって
…結局、逃げてきたんだ
不意にぶつかって避けられてしまった視線
そんな事でショックを受けるなんて
俺はいつの間にか変な期待をしていたんだろうか
とっくにフられてるくせに、諦めが悪すぎる
大体、ニノを励ましたのだって
好きになって貰おうなんて魂胆で動いたはずじゃなかったのに
『ありがとう』と笑みを零すニノを見て
『バカ…』と涙を流す姿を見て
まだ希望があるんじゃないかって
もしかしたら好きになって貰えるんじゃないかって
そんなバカな幻想を抱いていたんだろうか
なのに、雅紀が帰って来た途端嬉しそうにするニノを目の当たりにして
1人で傷ついて風呂場に逃げ込んできたってのか?俺は…
勝手すぎる
反吐が出る
男らしくなさ過ぎる
…情けねぇだろ……
ポチョン、と天井から落ちてきた滴が目元を濡らして頬を伝った
胸から込み上げてくるものを紛らわすように
俺は頭の先まで全部、自分を湯船に沈めた
「…はあぁ……」
湯船に浸かって大きく吐いた息は
風呂に入った時の気持ち良さを表すものじゃなく、深い溜息だった
…何やってんだ、俺
まるで逃げたみたいな自分に愛想が尽きてきた
ニノと2人きりになって、何話していいのかわかんなくなって
やっと出てきた言葉が『…アイス食う?』
アホか、俺は
これじゃイカンと仕切り直した言葉が『…新しい仕事、どう?』
俺は思春期の息子相手に何話したらいいか悩む父親か
どんだけヘタクソだっての
でも…
口開けば雅紀との事を聞いてしまいそうになるんだ
坂道で手を繋いでた2人の姿が忘れられない
かと言って、特に変わった様子はないし
いや、何だかイチャイチャしてたような
でも、あの2人はいつも子犬みたいにジャレ合ってるし…
気にすれば気にするほど何だかぎこちなくなって
それ以外に話したい事が見つからなくなって
思考回路は機能を停止してしまった
ホントは聞きたくなんかない
はっきりとニノの口から幸せな報告なんてされたくない
それでも気になって仕方なくて
やっぱり傍にいたくて
矛盾を抱えたまま、ニッチもサッチも行かなくなって
…結局、逃げてきたんだ
不意にぶつかって避けられてしまった視線
そんな事でショックを受けるなんて
俺はいつの間にか変な期待をしていたんだろうか
とっくにフられてるくせに、諦めが悪すぎる
大体、ニノを励ましたのだって
好きになって貰おうなんて魂胆で動いたはずじゃなかったのに
『ありがとう』と笑みを零すニノを見て
『バカ…』と涙を流す姿を見て
まだ希望があるんじゃないかって
もしかしたら好きになって貰えるんじゃないかって
そんなバカな幻想を抱いていたんだろうか
なのに、雅紀が帰って来た途端嬉しそうにするニノを目の当たりにして
1人で傷ついて風呂場に逃げ込んできたってのか?俺は…
勝手すぎる
反吐が出る
男らしくなさ過ぎる
…情けねぇだろ……
ポチョン、と天井から落ちてきた滴が目元を濡らして頬を伝った
胸から込み上げてくるものを紛らわすように
俺は頭の先まで全部、自分を湯船に沈めた
